1998年7月。
我が家に王子さまがやってきました。

イギリスはウェールズの緑深い森に住む、妖精たちの王子さま。
四つあしで、鼻がくろく濡れていて、人間たちの言葉でいうところの『犬』という種族に分類される王子さま。
しかし、そこはさすがに王子さま。
おおよそ、『犬』とはかけはなれた「からだ」と「こころ」を持っていました。
まずは「からだ」です。
『犬』はしっぽで感情を表現します。
嬉しいときにはしっぽをふり、悲しいときにはしっぽをおろします。
・・・王子さまにしっぽはありません。
でも、王子さまは、嬉しいときにはおしりをふり、悲しいときにはそっぽをむいてくれます。
そして「こころ」です。
『犬』は人間のもっとも古い友達です。
人間が愛情をわけあたえてあげれば、『犬』は全身全霊で家族を愛し、忠誠を誓います。
・・・王子さまにとって家族は、食事係りと、大好きなお散歩につれてってくれる召し使いです。
家族が一生懸命愛情を注いでも王子さまは、面倒くさいときには、むこうをむいて「ふー」と大きなため息をつきます。
家族の帰宅も気付かず、くーくー寝てることもよくあります。
そのくせ仕事に出掛ける家族には毎朝、冷たい視線をびしびし投げつけたりもしています。
そんな王子さまとの生活が1年も続いた1999年7の月。
王子さまは、
大きく垂れさがった耳は邪悪に天をあおいでたちあがり、
短かった鼻はみるみるうちに伸び、口は耳まで裂けて、
短かった足はやっぱり短いままで、
たたみ、たんすのとって、こたつのあし、ふすま、廊下のかどの壁、じゅうたんのはし、ゲームコントローラー、羽まくら、コートのそで、スノボのブーツ、ビニールチェアー、かばんの口、などなど手(口?)当たり次第に破壊しまくる
破壊王
へと成長をとげました。
